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檜風呂、後日談。

納品して5日目、盆休みの中、「水がどんどん漏る。3時間くらいしかもたない。」と連絡が入った。納品前、水を貯めて一晩おいたが明らかな水位減少は見られなかった。お客さんは車で10分の距離、帰省中の長男坊を連れ、すぐ軽トラで現地に向かう。

「使い初めたら、漏れもそのうち落ち着くだろうと思ってたんだけど、どんどん漏るようになっちゃって」
「ひとつ心当たりがあります。持ち帰って確認します」

排水金具の取り付け不備か?と思いながら、家の庭で水を入れると、すぐに側板と底板の間から水が漏れ出した。よく確認すると底板が錦帯橋のように波打っている。そのため、側板との間に1ミリほどの隙間ができたというのが真相だった。120ミリ幅厚み38ミリ7枚の板を貼り合わせて作った底板が7連の錦帯橋になっていた。檜の底板が、最初の5日間で最大限まで水を含んで膨張し、ボルトで止められた底板はその行き場なく波打ったということ。
木の収縮の力は凄まじく、80センチの幅の板だとその1%=8ミリは収縮すると思わなくてはならない。木の収縮率には異方性があり、柾目で使えば収縮はおよそ半分に抑えられる。濡れたり乾いたりを繰り返す浴槽、木にとっては最も過酷な場所。底板だけでも柾目材を使うべきだった。しかし檜無地の柾目材となると並材の5〜10倍の値段を覚悟しなくてはならない。「できる限り身近にある材料で」ということにこだわるのであれば、何とか解決策を見つけなくてはならない。そもそも柾目材を使っても収縮はゼロにはならない訳で。

以前、近所の船大工さんに、水漏れを止める方法を訊いた。
「杉皮で作った細い紐を隙間に埋める」

檜の角材をカンナで削って薄い削くずを作り、それをこよりにしてカッターナイフの刃の先で隙間に詰め込む。削くずは水を含んで膨張し隙間を埋める。
一晩水を貯めて確認。翌朝、水位はほとんど下がっておらず、再納品。
この失敗を糧としたいと思います。
行く末を見守ります。

2件のコメント

[C1036] 知識あり

こういうこともあり得る、昔はみんな木製の風呂だった、。
それにしても船大工さんの知恵、それを取得していた、それを使いこなす、絶賛です。
  • 2019-08-17
  • 投稿者 : tatu_no_ko
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  • 編集

[C1037]

tatu_no_koさん
木を扱っていると、100点満点は取れないことを実感します。完璧はそもそも求めてはいけない。望まぬ事が起きた時にどう対処するのか、経験しながらその選択肢を増やして行くことが大事なのだと思います。
  • 2019-08-18
  • 投稿者 : 尼助丸
  • URL
  • 編集

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