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カンナ考

応援も終盤、刻みが終わり屋根材料を削り終え、「ふたりで柱を仕上げようか。あした仕上カンナ持ってきて。」その晩、家に帰って台の調整と研ぎをして床についた。 応援先は、私に一枚カンナの仕込みを教えてくれた師匠のところ。以前、「これを仕込んでみて」と師匠から、フリーマーケットで安く買った古いカンナの刃を5,6枚譲り受けていた。仕事の合間を見て4枚仕込んでいたもののうち、一番具合の良さそうなものを、翌日現場に持ってゆくことにした。

「のう、○○さん。削ろう会で普段使いもせんようなもったいぶったきれいな道具を桐の箱から出してきて、節のひとつもない檜の柾目の特上の材料を削って、削りくずがやれ何ミクロンじゃと競うことに何の意味があるんじゃろうか。」
 
師匠のカンナはここ何十年もの手あかにまみれて黒光りし、刃は研ぎ込まれて短くなり台から頭がほんの少しのぞいている程度、そんなものが何枚も無造作に他の手道具と一緒に道具箱に放り込まれている。カンナで1000分の数ミリ単位の薄さの削りくずをだすことはたしかに難しく、程度のよい刃物と正確な台の調整と確かな研ぎの技術がいる。しかしその技術が普段の現場で使われていないとすると、その技術はもはや死に体だ。普段はプレカットにボードはりとサイディングといった仕事に追われ、年に一度の削ろうかいで溜飲をさげているのだとすればこれほど悲しいことはない。師匠にとってカンナ削りの技術はどこまでも生業の一部なのであって、それが一部の特権階級の遊びのような扱いをされていることに我慢ならなかったのだろう。 1週間ふたりきりで仕事をすれば、休憩時間にふとしたきっかけでこういう生きたことばがこぼれ出てくることがある。 

桑の大黒柱と檜の節あり大柱を削らせてもらった。

P9090013.jpg

師匠からもらった刃を仕込んだカンナ。刃口に真鍮を埋め込んだ一枚カンナ。これで逆目を止める。

P9080028.jpg

4件のコメント

[C923]

今週、シルバーの軽トラを煽るトラックを見かけました。車間距離は尺五寸でしょうか。オヤジは、カンナでなく、チェーンソー仕上げでもいいかな、なんて考えてます。というか、仕上げの内装壁は、荒材でいいかと。家の中で壁を触ることないし。次回の新築で提案してみようかと。
  • 2016-09-11
  • 投稿者 : 齊藤真二
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[C924] カンナの力

専門的なことはわかりませんが、素晴らしい匠を師とされていることが伝わります。
カンナ掛けの跡を、目をつむっていとおしそうに手のひらでなぜる大工さんを思い出しました。
  • 2016-09-12
  • 投稿者 : tatu_no_ko
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[C925]

齋藤さん
荒材のままの仕上、私もいつかやってみたいと思います。

tatu_no_koさん
職人は自己満足の世界に陥りがちです。戒めとします。
  • 2016-09-13
  • 投稿者 :
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[C931] 53度

はじめまして、長野県在住で、建具を作ったり、大工仕事も少々始めた者です。
(大工塾7期生です。)私は、広葉樹を削るための鉋は、仕込勾配を53度にした一枚刃を使用しています。今回その鉋で杉を削ったところ意外と上手く削れました。一枚刃ですと仕込も楽ですので、私も一枚刃で出来ればやりたいと思い、書込みをさせていただきました。仕込勾配が53度のように急勾配な鉋なのでしょうか?教えて頂けないでしょうか?

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