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押し入れあるいはクロゼット
大工です。
洋間が増えて和室が減り、押し入れはクロゼットに取ってかわられた感があるが、洋間に作る洋服掛け主体の収納部で扉は折れ戸なのがクロゼットで、和室に作る布団収納が主体の収納部で引き戸なのが押し入れという感じか。いずれにせよ呼び名がかわっただけで、その中身にあまり変化はないように思う。
写真は畳の間を板張りにしてベットをおく予定の寝室で、布団を入れる押し入れと洋服をかけるクロゼットが並列に並ぶ(すべて引き戸だが)。よく「和風の家ですね」と言われるが、当の大工にその自覚はないし、「和風建築」などという言葉も使わない。畳があれば壁がクロスばりの大壁でも和室なのか、板の間であれば柱が見えていても洋間になるのか、そこに明確な線引きはない。だから何を指して和風というのか私にはわからない。そもそも「◯◯風」ということばは「なんちゃって」ということで「そのもの自体ではない」ということであり、「似非」「にせもの」といった負のイメージが私にはある。私の場合、木(特に杉)という素材にこだわっていろんなことを考慮して造った家が結果的にそこにでき上がるだけで、その家は洋風でも和風でもないと本人は思っている。
合板や石膏ボードは極力使わないと決めているので、押し入れ(あるいはクロゼット)内部も必然的に板をはることになる。押し入れにも床・壁・天井それに中段があり、大工にとっては狭いながらも一つの部屋と同じ。見習いのころ最初に決まってやらされるのが押し入れだった(床も壁も天井も合板をはったが)。
一間幅の押し入れで使う板は、壁・床およそ4坪分、それが三つも並ぶと10坪分は軽く超える。たたみ20畳分以上の板をはるので費用も手間もかかるのだが、押し入れは湿気の溜まりやすい場所でもある。合板が湿気にやられてぶかぶかになっている状態を数多く見ているだけに、この板張りは、やはり譲れない。


洋間が増えて和室が減り、押し入れはクロゼットに取ってかわられた感があるが、洋間に作る洋服掛け主体の収納部で扉は折れ戸なのがクロゼットで、和室に作る布団収納が主体の収納部で引き戸なのが押し入れという感じか。いずれにせよ呼び名がかわっただけで、その中身にあまり変化はないように思う。
写真は畳の間を板張りにしてベットをおく予定の寝室で、布団を入れる押し入れと洋服をかけるクロゼットが並列に並ぶ(すべて引き戸だが)。よく「和風の家ですね」と言われるが、当の大工にその自覚はないし、「和風建築」などという言葉も使わない。畳があれば壁がクロスばりの大壁でも和室なのか、板の間であれば柱が見えていても洋間になるのか、そこに明確な線引きはない。だから何を指して和風というのか私にはわからない。そもそも「◯◯風」ということばは「なんちゃって」ということで「そのもの自体ではない」ということであり、「似非」「にせもの」といった負のイメージが私にはある。私の場合、木(特に杉)という素材にこだわっていろんなことを考慮して造った家が結果的にそこにでき上がるだけで、その家は洋風でも和風でもないと本人は思っている。
合板や石膏ボードは極力使わないと決めているので、押し入れ(あるいはクロゼット)内部も必然的に板をはることになる。押し入れにも床・壁・天井それに中段があり、大工にとっては狭いながらも一つの部屋と同じ。見習いのころ最初に決まってやらされるのが押し入れだった(床も壁も天井も合板をはったが)。
一間幅の押し入れで使う板は、壁・床およそ4坪分、それが三つも並ぶと10坪分は軽く超える。たたみ20畳分以上の板をはるので費用も手間もかかるのだが、押し入れは湿気の溜まりやすい場所でもある。合板が湿気にやられてぶかぶかになっている状態を数多く見ているだけに、この板張りは、やはり譲れない。


4件のコメント
[C376]
- 2010-02-20
- 編集
[C377]
ちょい悪さん
当の大工もびっくりするくらい板は使いますね。同じ杉板でも厚み、幅、チリのとりかた、仕上げ、色合いなどいろいろなものがあります。ワンパターンに陥らぬよう、いろいろと試しています。
当の大工もびっくりするくらい板は使いますね。同じ杉板でも厚み、幅、チリのとりかた、仕上げ、色合いなどいろいろなものがあります。ワンパターンに陥らぬよう、いろいろと試しています。
- 2010-02-23
- 編集
[C378]
押入れこそ、無垢の板を使いたいですよね。
親方についているときは、ベニヤばかりでした。親方は「これじゃ腐るわな」と言ってましたが図面屋の指定がそうなっていて。親方が進言してましたけど、いうこと聞くヤツはいませんでした。
このころから、設計士という人種に嫌悪感を抱き始めました。
おつかれさまです。
親方についているときは、ベニヤばかりでした。親方は「これじゃ腐るわな」と言ってましたが図面屋の指定がそうなっていて。親方が進言してましたけど、いうこと聞くヤツはいませんでした。
このころから、設計士という人種に嫌悪感を抱き始めました。
おつかれさまです。
- 2010-02-25
- 編集
[C379]
八代の大工さん
仕事において、汗を流すか流さないかの差は大きい。理屈は自らの感覚に裏付けされてこそ本物になるのでしょう。汗をかかぬ人との付き合いはなかなか難しいですね。
仕事において、汗を流すか流さないかの差は大きい。理屈は自らの感覚に裏付けされてこそ本物になるのでしょう。汗をかかぬ人との付き合いはなかなか難しいですね。
- 2010-02-26
- 編集
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木の肌がいいですねー!