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終の作業場(16)棟上げ3回目

思いのほか工事は早く進んでいるような気がする。仕事の合間を見ながら空いた時間にということで始めた作業場建設、早く進んでいるということは仕事が少なかったことの裏返しとも取れる。手放しでは喜べない。収入減と出費増。そんなことは最初から分かっていたこと、何を今更。
今住んでいる自宅は以前から借家人として住んでいた粗末な平屋。家は持たないで借家で一生過ごすつもりでいたところ大家さんから「買ってくれ」との声がかかったのが十数年前。家、畑、田、山込み込みで500万円。10年住めば借家代と同じと計算。覚悟を決めて買った。既に元は取った。その後、家も必要に応じて手を入れてきたつもりだが、そのほとんどが間にあわせ仕事。綺麗にとか格好よくとかいう思考は一切働かない。大工が自分の家を綺麗に格好良く作るということに、どういうわけかずっと嫌悪感に近いものを持っている。大阪人は「あいつはええかっこしいや」と言われることを極度に嫌う。「お前はアホやな」と言われる方が嬉しい。その感覚に近いだろうか。「いろいろ着飾りくさりやがって、お前一体なんぼのもんじゃい」 石山修武は「自邸ナゾという恥ずかしいモノはもたない。しかし、自在な仕事場は必要だ。何にでも使えるような巨大なテントが欲しかった」と言っている。この感覚に私もいたく共鳴する。

「建物って一体いくらでできるんだろう?」 自分で毎回見積もりを作っておきながら、その疑問が拭えない。同じ問題提起を前述の石山修武も30数年前にしている。その石山修武が、数年前に建てた「岩国のアトリエ」について「アトリエ棟の低さ、軒の深さ、そして棟内に取り込まれた内外の区別無きテラスは出色である。私は今年、最高の作品と考えた。」と選評を寄せてくれていたのも何かの縁。今回の作業場建設は、極度に構造に特化した建物を木だけで人力で(プレカットを使わずに)つくればいくらでできるのだろうという実験でもある。結果的に「家なんてバラックで十分」となればいい。

荒材でざっくりと建物を建てること。これが以外と難しい。四角四面に製材された材料での仕事に慣れると、考えなくなる。荒材では、重点が仕上がりを綺麗に見せることから建物の強度の方に完全にシフトする。すべての寸法がバラバラ。直角かどうかも怪しい。そんな材にどうやって墨をつけるのか、どうやって刻むのか、適度ないい加減さが求められる。何を守って何を捨てるのか、常に取捨選択、順位付けが要求される。捨てることの難しさ、怖さ。そこを突破することの必要性を若い大工たちにも感じてほしいと思う。

総勢11人。自分より年配は一人だけ。今後この作業場が若い大工たちのホームベースとなればいい。

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