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茶碗

工事を依頼された時は、「陶器が好きですか、それとも磁器が好きですか?」という問いかけが有効だという話を、以前ある設計士さんから耳にしたことがある。大工が1本1本木を選び墨つけ刻みをする家づくりと、ハウスメーカーの作る画一的な工場生産の家づくりとを対比させたものだとすぐに合点がいき、なるほどと、うなった覚えがある。木の割れるひねる凹む膨らむ縮む腐るといった性質、そのことに対する依頼者の許容度をはかるひとつの目安にはなるだろう。

20年近く使っていたカミさんの茶碗が割れた。単純に床に落としたことによるもの。備前焼の窯元を訪れ、当初4客購入、家族皆で使っていたが、1つ割れそしてまた一つ、子供が家を離れるように割れて残っていた最後の1客だった。これを機に二人分の茶碗を購入しようと、窯元に電話したがつながらず、メールで「他の茶碗ではどうもしっくりこないのです。肉厚で無骨な感じの風合いがとても気に入っていました。」と20年前からの経緯と合わせて送信。2日経っても返信はなく諦めかけていたところ3日目に電話が入った。奥様からで、主人は3年前に亡くなったこと、主人の希望として残った作品は気に入って使ってくださる方々に分けて欲しいと言っていたとのこと、ついてはご期待に添えるようなお好みの茶碗ではないかもしれないけれど、私が2客選んで遅らせてきただきたい、とのお話だった。程なく届いた茶碗には美しい手紙が添えられていた。漆で修復途中の割れた茶碗の写真を見ると、亡き主人との会話が聞こえてくるようで、と書かれていた。後日、茶碗のお礼として自作の杉の箸と栂の箸置きを送らせていただいた。奥様がご存命のうちに再訪問を果たしたい。拙い修復の茶碗でも、きっと手にとって喜んでくださるだろう。

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終の作業場 (2)開墾

登記簿を見ると元は田。農家でないから田は買えない。しかし平成元年に雑種地に地目変更されていたため、農家でなくとも購入が可能、建物も建築できる。さらに元が田ということはそこが平地であることの裏付けでもある。
潅木(桑の木)と笹と背丈以上の諸々の雑草。
仕事の合間を見て若い二人の手を借りて3人で草刈り、伐採、開墾。
そこかしこに膨大な草の山ができる。
笹の根がひどく、ユンボの手を借りる。

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終の作業場 (1)土地との出会い

2年前、終の作業場を作るため土地を買った。
総面積700坪強、その内、平地部分約470坪。
瀬戸内海に浮かぶ島の高台にある。

ふと、カミさんが新聞折り込み広告で見つけた物件。
それ以降ずっと頭から離れなかったので、不動産屋に電話して案内してもらった。
広告写真で見たとおり、背の丈以上の木々と笹や雑草に阻まれて、その日はほとんど足を踏み入れることができなかった。
後日、草をかき分けて歩測、ネット上の航空写真と照らし合わせて、平地部分がかなりあることを確認。
およそ2か月間悩んだ後、購入を決めて不動産屋に連絡を入れた。
50代半ばとなり、今後のことを考えた時、最後のチャンスだと思った。

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