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作業場の見学

かねてからお願いしていた作業場の見学をさせていただいた。同業者の仕事場に足を踏み込むのは、敵情視察と受け取られかねない節もあり言い出しにくかったのだが、すんなりと同意いただいた。

隣市の大工さん。数十年前に先代が建てたという鉄骨造2階建の建物。離れに材料置き場の建屋が数棟ある。幅600㎜の自動カンナと600㎜の手押しカンナ、幅広板の平面が出せるルーター、追っ掛け継ぎの加工機、鎌、アリの加工機、製材機、長さ12mの桁が加工できるようにと作られた作業場はホイストもあって広い。それでも手狭になって同じ敷地内に別棟を増築している。ただ、時代の変遷で家の作り方自体が変わってしまったため、機械の稼働率自体はかなり落ちているとのことだった。

一個人大工の作業場は、規模の差こそあれ、簡易的な建築物であることが多い。そこで寝泊まりするわけではないので居住性は問われない。家を建てるという、生産活動の場として特化された場所。必然的にローコストの建物になる。当初は必要十分だったのが、時を経るにつれ機械がふえ、道具が増え、材料が増えて手狭になってゆくのは、継続して仕事を続けている大工には共通のことと思う。大工なので増殖はたやすい。付け足しながら建物が広がってゆく。その数十年間の変遷が歴史としてその建物に残されていてとても興味深い。しかし、この2,30年の間で家づくりが劇的に変わってしまい、多くの機械が埃をかぶり、その前には材料が積み上げられていて、久しく使われていない様子がありありと窺われる。実はこれから作業場を整備しようと考えているのだと話すと、「こんなご時世に、それはすごいことだ」と後押しになるかならないかわからないようなコメントをいただいた。時流に抗ってきたのは今に始まった事ではないが、先輩大工が置かれている現状を垣間見た1日だった。

30年ぶりの邂逅

Tさんには本当に色々とお世話になっている。2年前に仲介してもらった軽トラは今年で30歳になるが絶好調。住んでいる道の狭い集落内で大変重宝している。そのTさんからは、数年前に中古の薪ストーブも世話していただいていた。柳井に住むK君の古家に運び入れてしばらく放置されていたが、やっと日の目をみることになった。レンガで炉台を作り、床下を補強(おおよそ150Kgもある)し、古瓦で背面の壁を作り、屋根に穴を開けて煙突を設置、ここまで1年半かかって、年末にやっと火が入った。K君一人の工事。この薪ストーブは以前大竹市にあったステーキ屋に置かれていたもの。そのステーキ屋には、まだサラリーマンだった頃に一度だけ訪れたことがあった。その時にこの薪ストーブを見ていたという記憶はないけれど、こうして30年の歳月を経た今、K君の古家で火が点いていることに不思議な縁を感じる。

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