Entries
ロカスト
築30年の洋館、一間幅の玄関ホールは赤い絨毯張り。年数の割りには目立った傷みもなく、非常に程度の良いものだと思われた。ただ下地の12㎜厚の合板がぶよぶよで、下地から張り替えることになった。家のイメージを壊さぬように外材のフローリングを探していると材木屋さんに話すと、ロカストという材のフローリングがちょうどスポット品として出ていると言われた。サンプルを取り寄せると、赤茶色い柾目の板がちょうどマッチするように思い、施主さんからも快諾を得た。もちろん合板ではなく無垢のフローリングだが、堅木のフローリングは通常数十㎝程度の短い材をフィンガージョイントでつなぎ合わせている事が多い。これをユニと呼ぶことを初めて知ったが、このロカストのフローリングはソリッド(継ぎ目の無い一枚の板)で、これも大きな決め手となった。框や額縁などがアール(曲線)なので、削り合わせのためにマルノミと反り台鉋を持ち込んでの作業。「通常より日数がかかります」と施主さんに伝えていた。こわしと割り付けと墨出しまで済ませて、あとは若い二人に任せた。「堅い材で刃物がすぐ切れなくなる」とのことだったが、うまくまとめてくれた。

