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山の音楽祭で

みなさんこんにちは。岩国で大工をやっています。くろうともうします。この春から大工になりたいといって見習いに入った二十歳の弟子と二人で工務店を営んでいます。わたしは現在、杢人の会という協同組合に所属しています。杢人の会というのは、志を同じくする大工20名ほどで同士で作った協同組合で、会員は全国に散らばっていて、埼玉県に事務局があります。お配りした冊子はその会のものです。ご参考まで。

今現在、日本の家は築後およそ30年程度で解体されるというデータがあります。この会は、そのようなスクラップアンドビルドを繰り返す家づくりはおかしいのではないかという問題提起から始まっています。

志の中身ですが、自分なりに解釈すると次のようになろうかと思います。

1.その地域の国産材を使って家を建てること、
2.木の特性に従った工法で家を建てるということ
3.ゴミにならない家を建てるということ

その3点です。結果的に、合板をはじめとする新建材をできるだけ使わない、金物を極力使わない、昔ながらの伝統的な木組みの家を作っています。

自分自身の転機となった現場があります。山口県に周防大島という島がありますが、そこで3年前に築100年の古民家を改修した現場です。生まれ育った古い家を、定年後の終の住処としたいということで工事させてもらいました。大工二人で1年半かかりました。ハウスメーカーの家が3ヶ月ほどで完成してしまうことを考えれば途方も無い時間と労力をそこに注いだ訳です。

いわゆる、古民家再生という仕事になりますが、そこで学んだことは数多くあります。その中から、きょうは一点だけ。仕事は、まわりに付属する納屋や離れといった建物など、あるいはダメになった箇所等を手壊しすることから始めます。てこわしというのは文字通り人力でひとつづつ家をほどいてゆく作業です。ただ単に壊して更地にするというのであれば大きな重機でバリばりっとやれば簡単ですが、使える材料、使えない材料を取捨選択してゆくのであれば、そういう訳にはゆきません。丁寧に手でほどいてやる必要があります。「こわす」のではなく「ほどく」ということばがピッタリあてはまります。そこで感動したことは、処分場に捨てにゆく必要のあるゴミはほとんどでなかったということです。理由は、昔の家はほとんど木と紙と土といった土に還る素材でできているからです。木は再利用したり、薪にしたり。つちはそのまま庭に、瓦は庭作りにと、言った具合です。

建築から出る産業廃棄物というのは膨大な量です。産業廃棄物処分場というのは大体が人里離れた山の中にあります。ひとつの谷といった広大な土地ですが、数年でゴミで満杯になるそうです。私も工事のたびにトラック何台もの量のごみを運んでは谷に埋めてきました。「こんなことを繰り返していていいのだろうか」とつねづねおもっていました。

そんなことで、ほとんどゴミが出ない家というものに私は感動した訳です。それ以降、「こわすときのことを考えて作る」「こわすことができないものは作らない」ということを、仕事の前提にすることにしました。

話は変わって原発です。どうやって解体すれば良いのか誰もわかりません。原発から出たゴミをどうやって処理すれば良いのか誰もわかりません。そのようなものは作ってはいけないのです。
うちは借家で電気温水器です。電気温水器というのは、需要の少ない深夜電力で湯を沸かす訳で、それはおそらく原発で作られた電気である可能性が高い。借家なので自分で選んだ訳では無いのですが、つい先日、壊れた訳ではないのですが、ガス給湯器に変えました。世間はオール電化が盛んです。ざっと新築住宅の9割はオール電化ではないでしょうか。その流れに逆行するような行動ではあります。しかし、原発による深夜電力を前提としたそのようなシステムに組みすることはしたくないということです。

工場で作られた新建材でできたオール電化の家は、原発を許容してきた私たちの生き方の象徴のようなものです。
ひとりの大工として、そこをこれからも問うてゆきたいと考えています。

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