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漆喰塗り
最近はめっきり左官屋さんの仕事が少なくなっているようです。
建物の内部仕上げはビニルクロスがほとんどですし、外壁もサイディングといって工場で作られたものを金物で留めていくだけ、といった感じです。
内部外部とも漆喰壁と板壁で仕上げます。今回の漆喰塗りの場合、下地塗り、中塗り、仕上げ塗り、と3工程あります。それぞれ、塗っては乾かしを繰り返すので、仕上がるまでひと月はかかります。乾きが悪いと、後々ひび割れなどの問題が起きやすくなるため、乾燥させる期間も大切です。短い工期をうたうハウスメーカーでは敬遠されるのも無理ありません。

しかし、人の手によって塗られた壁には何ともいえない表情、味があり、あたたかみを感じます。
調湿作用という面からも、また、土に還る素材という面からも優れています。

沢山いた左官屋さんもめっきり減ってしまい、高齢化が進んでいます。大工の後継者不足も叫ばれていますが、左官屋さんのそれは、もっと深刻なようです。永い間続いてきた、こういった当たり前の家づくりも、今後難しくなってゆくだろうことは間違いありません。
悲しいですね。

建物の内部仕上げはビニルクロスがほとんどですし、外壁もサイディングといって工場で作られたものを金物で留めていくだけ、といった感じです。
内部外部とも漆喰壁と板壁で仕上げます。今回の漆喰塗りの場合、下地塗り、中塗り、仕上げ塗り、と3工程あります。それぞれ、塗っては乾かしを繰り返すので、仕上がるまでひと月はかかります。乾きが悪いと、後々ひび割れなどの問題が起きやすくなるため、乾燥させる期間も大切です。短い工期をうたうハウスメーカーでは敬遠されるのも無理ありません。

しかし、人の手によって塗られた壁には何ともいえない表情、味があり、あたたかみを感じます。
調湿作用という面からも、また、土に還る素材という面からも優れています。

沢山いた左官屋さんもめっきり減ってしまい、高齢化が進んでいます。大工の後継者不足も叫ばれていますが、左官屋さんのそれは、もっと深刻なようです。永い間続いてきた、こういった当たり前の家づくりも、今後難しくなってゆくだろうことは間違いありません。
悲しいですね。

杉の製材
ふと気になって、世界の主な国の国土に対する森林の割合を調べてみました。
統計資料としては少し古いのですが。

日本が群を抜いてい高いことに驚きます。
日本が67%、つづいてフィンランド66%、スウェーデン59%と北欧の国々。
熱帯地方のブラジル65%、インドネシア61%、マレーシア47%。
イメージとして森の多そうなロシアは37%、カナダは27%、アメリカ合衆国は23%しかなく、
ヨーロッパの国々、ドイツ30%、イタリア22%、イギリスにいたっては10%しかありません。
こうして見ると、ここ日本で、木で家を建てることは必然のことのように思います。
柱や梁、その他いろんなところに、杉を好んで使います。写真は購入した杉の丸太です。直径はおよそ27センチから40センチくらいまで。錦川の上流にある原木市場で買ったものです。樹齢はおよそ70から80年生くらい。

一本一本木を見て、製材所の製材士さんと話をしながら、どのように挽くか検討します。

写真は板材を挽いている様子。
挽きたての木はまだみずみずしく、鮮度の良い刺身のように、美しい。

結局、板材と柱を取ることにしました。

この後、作業場に持ちかえり、皮を剥いて、桟積み。
およそ1年は自然乾燥させて、反りや狂いを出します。
統計資料としては少し古いのですが。

日本が群を抜いてい高いことに驚きます。
日本が67%、つづいてフィンランド66%、スウェーデン59%と北欧の国々。
熱帯地方のブラジル65%、インドネシア61%、マレーシア47%。
イメージとして森の多そうなロシアは37%、カナダは27%、アメリカ合衆国は23%しかなく、
ヨーロッパの国々、ドイツ30%、イタリア22%、イギリスにいたっては10%しかありません。
こうして見ると、ここ日本で、木で家を建てることは必然のことのように思います。
柱や梁、その他いろんなところに、杉を好んで使います。写真は購入した杉の丸太です。直径はおよそ27センチから40センチくらいまで。錦川の上流にある原木市場で買ったものです。樹齢はおよそ70から80年生くらい。

一本一本木を見て、製材所の製材士さんと話をしながら、どのように挽くか検討します。

写真は板材を挽いている様子。
挽きたての木はまだみずみずしく、鮮度の良い刺身のように、美しい。

結局、板材と柱を取ることにしました。

この後、作業場に持ちかえり、皮を剥いて、桟積み。
およそ1年は自然乾燥させて、反りや狂いを出します。

天井板
普段の仕事では、天井板ははらずに小屋裏をそのまま見せることが多いです。
構造がそのまま目に見えることは住む人の安心にもつながりますし、
メンテナンスする際も有利です。
結果、家を長持ちさせることにもつながります。
今回は、古梁は見せて、屋根面にあわせて斜めに杉板をはります。
梁の形に一枚一枚合わせながら、下から上へとはり上がってゆきます。
写真はちょうど棟(一番高いところ)の部分です。
垂木の間に鉋屑をつめた断熱材が見えます。

古い梁は長年の汚れを拭き取ってやり、油を塗ってやります。
今回使ったのは荏油(えあぶら)に茶色の顔料を混ぜたもの。
ペンキとは違って木部にしみ込み、木目も浮き立たせます。
乾くと、生き返ったようにみずみずしくなります。

新築の家とはまた異なる美しさがあります。
新しい天井板と古い梁がコントラストになっていますが、
年数が立つに連れて、お互い寄り添うように馴染んでくるでしょう。

構造がそのまま目に見えることは住む人の安心にもつながりますし、
メンテナンスする際も有利です。
結果、家を長持ちさせることにもつながります。
今回は、古梁は見せて、屋根面にあわせて斜めに杉板をはります。
梁の形に一枚一枚合わせながら、下から上へとはり上がってゆきます。
写真はちょうど棟(一番高いところ)の部分です。
垂木の間に鉋屑をつめた断熱材が見えます。

古い梁は長年の汚れを拭き取ってやり、油を塗ってやります。
今回使ったのは荏油(えあぶら)に茶色の顔料を混ぜたもの。
ペンキとは違って木部にしみ込み、木目も浮き立たせます。
乾くと、生き返ったようにみずみずしくなります。

新築の家とはまた異なる美しさがあります。
新しい天井板と古い梁がコントラストになっていますが、
年数が立つに連れて、お互い寄り添うように馴染んでくるでしょう。

布団干し
足固めの補修
今度は別の箇所、足固めの補修です。昔の家は柱が直接石の上に建っているものが多いのですが、その場合に柱同士を動かないように床下でがっちりとつないでいるのが足固めという部材です。現在の木造住宅ではほとんど見られなくなりました。

この足固め、材料は地松です。ここ大島でも昔は松が豊富にあったようです。丸太を半分に割って四角く製材して使っていました。

でもご覧の通り、シロアリにかなりやられています。
虫害部分を切り取って新たな材料でつなぎ合わせます.

必要最小限ですが、必要箇所には金物ボルトも使います。
継ぎ手部分に2本、上から下に絞め込むため使っています。

新築と違って手間のかかる部分ですが、先人の仕事を追体験することでもあり、面白くもあるようです。

この足固め、材料は地松です。ここ大島でも昔は松が豊富にあったようです。丸太を半分に割って四角く製材して使っていました。

でもご覧の通り、シロアリにかなりやられています。
虫害部分を切り取って新たな材料でつなぎ合わせます.

必要最小限ですが、必要箇所には金物ボルトも使います。
継ぎ手部分に2本、上から下に絞め込むため使っています。

新築と違って手間のかかる部分ですが、先人の仕事を追体験することでもあり、面白くもあるようです。

柱の根継ぎ
断熱材
古い家は隙間だらけ。だから風通しもよく、家も長持ちするのかもしれません。しかし、改築にあたっては、出来るだけ住環境も改善させます。当然新たに断熱材も入れることになります。
住宅では使用する断熱材はグラスウールが安価で一般的です。細ーいガラス繊維を綿状にしたものが袋に入っています。ですが、工事の際に袋を切ったりする必要があり、中のガラス繊維が飛び散り、空気中を舞います。「体に付くとちくちくするし、体に吸い込んでいるかと思うと使いたくない」とダンナは言います。

柱や梁を加工したときに出る鉋屑です。今回はこれを袋の中に入れ、屋根用の断熱材として使用します。加工中に出た鉋屑をせっせと袋につめます。

作業場の一角に保管しておきます。今回使用するのは約900袋。
暇を見てはこうして内職します。

屋根と天井板の間につめてゆきます。
袋によって、檜の香り、杉の香り、松の香り等、いろいろ。
何個かはカバーを付けて、うちの枕となりました。
住宅では使用する断熱材はグラスウールが安価で一般的です。細ーいガラス繊維を綿状にしたものが袋に入っています。ですが、工事の際に袋を切ったりする必要があり、中のガラス繊維が飛び散り、空気中を舞います。「体に付くとちくちくするし、体に吸い込んでいるかと思うと使いたくない」とダンナは言います。

柱や梁を加工したときに出る鉋屑です。今回はこれを袋の中に入れ、屋根用の断熱材として使用します。加工中に出た鉋屑をせっせと袋につめます。

作業場の一角に保管しておきます。今回使用するのは約900袋。
暇を見てはこうして内職します。

屋根と天井板の間につめてゆきます。
袋によって、檜の香り、杉の香り、松の香り等、いろいろ。
何個かはカバーを付けて、うちの枕となりました。

貫
この家に筋交いはありません。筋交いというのは、柱と桁の間に入れる斜めの部材です。
地震や風に抵抗し、家の強度を保持するためのものです。筋交いを使わない場合は、一般的に壁に合板を貼って強度を出します。
昔の伝統的建築に筋交いはほとんど使われていませんし、もちろん合板も近代の産物。
貫というのは柱を貫いて通っている横の部材。今回の貫は厚さ28ミリ、幅120ミリのものです。家の横揺れに対して筋交いに代わって抵抗します。
構造の考え方もいろいろあるようですが、現在主流の筋交いや合板の家は剛構造、昔の貫や差し鴨居の家は柔構造といったところでしょうか。

アルミサッシを取り付けて、外壁に防水シートを貼ります。

だいぶ家らしくなってきました。

地震や風に抵抗し、家の強度を保持するためのものです。筋交いを使わない場合は、一般的に壁に合板を貼って強度を出します。
昔の伝統的建築に筋交いはほとんど使われていませんし、もちろん合板も近代の産物。
貫というのは柱を貫いて通っている横の部材。今回の貫は厚さ28ミリ、幅120ミリのものです。家の横揺れに対して筋交いに代わって抵抗します。
構造の考え方もいろいろあるようですが、現在主流の筋交いや合板の家は剛構造、昔の貫や差し鴨居の家は柔構造といったところでしょうか。

アルミサッシを取り付けて、外壁に防水シートを貼ります。

だいぶ家らしくなってきました。

土壁の補修
瓦工事
上屋の解体
今日は稲刈り
昨日と今日の午前中、稲刈りをしました。
米づくりはまだ4年目。
よく言われることですが、自然相手の仕事は大変だけれど楽しい。
私たちの場合、出荷するわけでもないので気が楽です。
稲刈りには大工仲間の栗木斎さんも手伝いにきてくださいました。
せっかくのお休みの日にもかかわらず、毎年来てくださいます。頼もしい助っ人です。

無事、はぜ掛けが終わりました。

同じくらいの広さの田んぼがもうひとつあります。そちらの稲刈りも終了。
これでほっと一息つけます。

米づくりはまだ4年目。
よく言われることですが、自然相手の仕事は大変だけれど楽しい。
私たちの場合、出荷するわけでもないので気が楽です。
稲刈りには大工仲間の栗木斎さんも手伝いにきてくださいました。
せっかくのお休みの日にもかかわらず、毎年来てくださいます。頼もしい助っ人です。

無事、はぜ掛けが終わりました。

同じくらいの広さの田んぼがもうひとつあります。そちらの稲刈りも終了。
これでほっと一息つけます。

下屋をつくる
この写真は家のどこを写したものか分かりますか?

玄関前の屋根部分です。
私の好きな写真の中の一枚です。
以前、設計士の丹呉明恭さんと一緒に仕事をさせていただいたことがあるのですが、建前のときに「家が建っていく様子は、山に木が生え、林になり、森になっていくようだ」と言われたことがあります。
柱が立って桁と組み合わさり、垂木を渡して野地板を張る。作業としてはそういうことなのですが、こうして画像を見ると、その言葉にとても共感します。

灯をつけての作業。
ちょっと幻想的ですね。

玄関前の屋根部分です。
私の好きな写真の中の一枚です。
以前、設計士の丹呉明恭さんと一緒に仕事をさせていただいたことがあるのですが、建前のときに「家が建っていく様子は、山に木が生え、林になり、森になっていくようだ」と言われたことがあります。
柱が立って桁と組み合わさり、垂木を渡して野地板を張る。作業としてはそういうことなのですが、こうして画像を見ると、その言葉にとても共感します。

灯をつけての作業。
ちょっと幻想的ですね。

下屋部分の解体
古材にあわせる
古材を利用していく
家を下ろす
家を動かす その2
家を動かす
下準備 道をつくる
下準備 家を持ち上げる
家が広がらないようにワイヤーで固定したら、今度は持ち上げていきます。
柱の下に油圧ジャッキを置き、すべての箇所が水平を保つよう注意しながら少しずつ上げていきます。2つのジャッキを交互に使い、持ち上がった分だけ角材を置きます。
下の写真の三角形になっている材は樫の木です。柱の下に両側から打ち込んで下がらないようにします。
家のあちこちに散らばって作業している職方さん達の数字を読み上げる声が響きます。
見学しているだけの私も緊張します。


最終的に60センチ程持ち上げました。

時間と手間のかかる作業です。
持ち上がっていくのが本当に少しずつなので、「気がついたらこんなに持ち上がっていたよ」という感じです。
そして、職方さん達の真剣な表情と無駄のない動き。かっこよかったです。

柱の下に油圧ジャッキを置き、すべての箇所が水平を保つよう注意しながら少しずつ上げていきます。2つのジャッキを交互に使い、持ち上がった分だけ角材を置きます。
下の写真の三角形になっている材は樫の木です。柱の下に両側から打ち込んで下がらないようにします。
家のあちこちに散らばって作業している職方さん達の数字を読み上げる声が響きます。
見学しているだけの私も緊張します。


最終的に60センチ程持ち上げました。

時間と手間のかかる作業です。
持ち上がっていくのが本当に少しずつなので、「気がついたらこんなに持ち上がっていたよ」という感じです。
そして、職方さん達の真剣な表情と無駄のない動き。かっこよかったです。

下準備
古屋解体 その2
古家を解体
古屋を解体していきます。築100年の家ですが、使える柱や梁は残していくので手作業での解体作業になります。
夏の暑い時期で、大きなかけやを振るうとすぐに汗びっしょりに。
土壁を壊すときれいに組まれた木舞が出てきました。
最近は木舞を組んだ家そのものがあまりありませんが、それでもたまに見かけるとだいたいビニール紐でくくってあります。
廃棄処分にする際、きちんと分別しなくてはいけないので、それだけでも大変な作業になります。

100年前の大工や左官は、すべてが手作業。この家も長い時間をかけて作っていったんだろうなと感慨深くなりました。
そして、土壁も木舞の竹もくくってある縄もすべて土に還る材料です。こういう家を解体するのは気持ちがいいですね。
夏の暑い時期で、大きなかけやを振るうとすぐに汗びっしょりに。
土壁を壊すときれいに組まれた木舞が出てきました。
最近は木舞を組んだ家そのものがあまりありませんが、それでもたまに見かけるとだいたいビニール紐でくくってあります。
廃棄処分にする際、きちんと分別しなくてはいけないので、それだけでも大変な作業になります。

100年前の大工や左官は、すべてが手作業。この家も長い時間をかけて作っていったんだろうなと感慨深くなりました。
そして、土壁も木舞の竹もくくってある縄もすべて土に還る材料です。こういう家を解体するのは気持ちがいいですね。
