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ふたり用テーブル

台所で簡単に食事がとれるような最小限のテーブルが欲しいとの依頼です。
90センチ角の天板で高さが67センチ。
各部材を薄く小さく細くというのは、日頃のおおざっぱな仕事と違って、なかなか神経を使います。

無垢の家具がひとつ置かれるだけで部屋の雰囲気がガラリと変わります。
それが楽しみで、家具づくりも、やめられない。

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CDラック

二つの部材を、加工せずに平らなまま釘やビズで止めることを「イモで継ぐ」という。「そこはイモで良いよ」「ここはイモじゃまずいから大入れで」などというのは大工同士の話。手間をかけない簡便な仕事だが、イモできちっとした仕事が、実は一番難しい。仕事に逃げがないからだ。

CDラック、当初イモでと考えていたが、時間的余裕もあったので蟻で組んでみたら、思ったより手間もかからず、イモ仕事のときに使う余分な神経も使うことなく組み上がった。段板の間にはクルミの木を倒れ防止に挟んでやって完成。

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仕事の谷間に

 大きい現場をかかえると数ヶ月から半年、一年以上、とほとんどその現場にかかりきりになる。途中、雨が漏るとか棚を作ってほしいといった小さな改修工事は何とかこなすものの、個人営業では基本的に現場の掛け持ちは不可能だ。結果、少なからぬお客さんに数ヶ月から年単位で待っていただくことになる。しかし、ひとつの仕事が終わってすぐ次の現場に移ることはなかなか難しい。終わったその仕事が大きければおおきいほど再度立ち上がるのに充電期間が長くなる。それまでたまっていた打ち合わせや図面引きといった事務作業をこなさねばならないことももちろん原因のひとつではあるのだが、次の仕事と自分自身の感情の起伏との折り合いをつけるのに時間がかかってしまうこともそれ以上に大きな要因だ。どうしても現場が無い空白の時期が生じてしまう。そんなこんなで平日大工が現場に出ずに家にいると、傍目に遊んでいるように見えてしまっても、半分あたっていない訳でもないので適当な言い訳も見つからず、少しばつが悪い。
 しかし、こんな仕事の谷間でないと普段はできないこともある。仕事と趣味の区別がつかないような範疇のこと。何年も寝かしていたトチの板、幅140センチ、長さ200センチ。このテーブルが置けるような家を、在庫としてひとつ頭の引き出し入れておく。

最近家具の話が続いていますが、私は大工です。

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まねることから

木という同じ素材を扱うとはいえ、やはり大工と家具職人とは違う。扱う材種も違えばその多きさも違う。大工の作る家具は総じて頑丈だが無骨となることが多い。構造的に長持ちして壊れにくいことが第一、デザイン的なものは二の次という思考回路が染み付いているので、それはある意味致し方ない。しかし、何にでもバランスというものはあり、必要以上に太く分厚い材料を使ったものはやはり野暮ったく見える。その意味で家具職人のデザインは、大工にとっては良い教材だ。材のスケール、木取り、加工の方法など、学ぶことは多い。まねて作ってみることでいろいろな発見がある。

ジョージナカシマの写真集の1ページを指差して、「こんなんでも作ってみるか」と、彼にベンチを作らせた。といってもうちにある木は杉ばかり。寝かせていた杉元玉の幅広板が座板、古い民家を解体した際にとっておいたサクラの敷居が背もたれの材料。手持ちの機械とそこそこの技術でできる範囲のものに簡略化。出来上がりはオリジナルと比べると恥ずかしくなるような「似て非なるもの」。それでも使い勝手だけはそこそこ良く、現在作業場の片隅に置かれ、彼の恰好の昼寝場所となっている。「寝そベンチ」と命名。

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トチの木。

仕事で毎日木を扱ってはいるけれども、それでは木に詳しいのかと言えば、その実そうでもない。建築用材として扱うのは杉、檜、松が9割以上で、その他の木に関しては意外と疎い。地元の年配の方と山に入れば立場は逆転。山で生えている木を見てもその木がなんなのかはわからず、「この木は何ですか」とたずねる始末。かんなでけずってみないと、「ああ、これは○○か」とわからないというのは、なんともバランスの悪い話だ。

次の仕事まで少し間が空いたので在庫のトチの木を引っ張り出して彼に削らせることにした。その削った肌を見て先のテーブルの脚の材種がトチであることを理解した。
枝分かれした真ん中の部分が腐っていて使えない。くりぬいて火鉢を据えて囲炉裏風の座卓にする予定。干物かなにかあぶりながらのぬる燗が待ち遠しい。

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