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現場片付けで思うこと

左官工事が終わった。今回の新築で使った土は、いずれも2t車で、荒壁土5台、中塗り土5台、砂3台分。自分の2tトラックの荷台にブルーシートを敷いて、スコップで積み上げ、荷台満載の土を、次の現場の大島まで運ぶ。ここ10年で家づくりの環境がガラリと変った。市場にはほとんど人工乾燥された木材しか出回らず、数少ない町の製材屋も高齢化。土壁の材料を供給する泥コン屋はひとつ消え、またひとつ消え。風前の灯。替え刃の鋸が主流になり、近場の鋸の目立て屋も体調思わしくなく休業状態。手刻みに欠かせない込み栓角のみ等の電動工具も廃盤。プレカット率は間違いなく9割以上。10年後、いや5年後に自分がどういう状況あるのか見通せないが、自分のスタイルををくずして仕事を続けるつもりは、今のところない。 伝統だから残さなくてはいけないなどとは思わない。受け手の積極的意識のない継承は、単に自分の時代が過ぎ去り消えてゆく事に対するノスタルジアに過ぎない。伝統の担い手自身が伝統の継承を訴える事に、保身的な自己満足的な違和感を感じ、気持ちが悪い。

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職業講話

昨日、地元の中学一年生を対象に話をしてきました。ひと月程前打診があり快諾しました。この世の中にはいろんな人がいていろんな価値観を持ち、それぞれが独立した生活を送っている。学校は単一社会、ともすれば型にはまったものを押し付けてしまう。そこにうまく適応できない子供は逃げ場がないと勘違いしてしまう。そして悲劇が起こる。世の中はもっと多様で複雑で割り切れないで答えのでないもの。「こんな生き方もあるんだ。それだったら私は私で何とか生きてゆけるかな」と思える一助になればうれしい。

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カンナ考

応援も終盤、刻みが終わり屋根材料を削り終え、「ふたりで柱を仕上げようか。あした仕上カンナ持ってきて。」その晩、家に帰って台の調整と研ぎをして床についた。 応援先は、私に一枚カンナの仕込みを教えてくれた師匠のところ。以前、「これを仕込んでみて」と師匠から、フリーマーケットで安く買った古いカンナの刃を5,6枚譲り受けていた。仕事の合間を見て4枚仕込んでいたもののうち、一番具合の良さそうなものを、翌日現場に持ってゆくことにした。

「のう、○○さん。削ろう会で普段使いもせんようなもったいぶったきれいな道具を桐の箱から出してきて、節のひとつもない檜の柾目の特上の材料を削って、削りくずがやれ何ミクロンじゃと競うことに何の意味があるんじゃろうか。」
 
師匠のカンナはここ何十年もの手あかにまみれて黒光りし、刃は研ぎ込まれて短くなり台から頭がほんの少しのぞいている程度、そんなものが何枚も無造作に他の手道具と一緒に道具箱に放り込まれている。カンナで1000分の数ミリ単位の薄さの削りくずをだすことはたしかに難しく、程度のよい刃物と正確な台の調整と確かな研ぎの技術がいる。しかしその技術が普段の現場で使われていないとすると、その技術はもはや死に体だ。普段はプレカットにボードはりとサイディングといった仕事に追われ、年に一度の削ろうかいで溜飲をさげているのだとすればこれほど悲しいことはない。師匠にとってカンナ削りの技術はどこまでも生業の一部なのであって、それが一部の特権階級の遊びのような扱いをされていることに我慢ならなかったのだろう。 1週間ふたりきりで仕事をすれば、休憩時間にふとしたきっかけでこういう生きたことばがこぼれ出てくることがある。 

桑の大黒柱と檜の節あり大柱を削らせてもらった。

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師匠からもらった刃を仕込んだカンナ。刃口に真鍮を埋め込んだ一枚カンナ。これで逆目を止める。

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「ブリコラージュな生き方」

今月の「杢人の会」コラムを担当しました。

パブリックコメント

「住宅の断熱性能をあげなさい」
「省エネ機器(冷暖房、給湯など)を使いなさい」
この2点を義務化しようとする「改正省エネ法」が法制化される動き。「あたらしく省エネ機器をたくさん買って、省エネ住宅をたくさん建てて、国内需要を盛り上げましょう!省エネよりも産業振興が一番大事なのです!」と、はっきり言ったらどうだ。

以下の意見を国土交通省宛、パブリックコメントとして送りました。

〔項目:第2 1 外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準 について〕
建物の外皮性能を上げることが義務づけられることで、土壁造りの家が建てられなくことを危惧する。外皮性能は劣っていても、土壁造りの家はそれ自体が極めて低エネルギーの建物であり、またさらに、機械にたよるエネルギーを過度に使用せずにすむライフスタイルを指向するものである。この点において、土壁の家は法の趣旨に反するものではない。土壁づくりの家の適用除外を求める。

〔項目:第2 2 一次エネルギー消費量に関する基準 について〕
エネルギー多消費型の都市生活が基準となっていて、本来であれば機械設備を必要としない建築主に対しても機械設備の設置が義務づけられてしまう。クーラーは体に合わない、風呂は薪で焚く、給湯も瞬間湯沸器で十分、暖房はこたつが好き、自然換気が一番、という生活が認められなくなる。一年中人工空調設備の整った中で暮らしなさいと国が強制することは、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の侵害に当たり、憲法違反である。

面白い本を読みました。藤村靖之著「愉しい非電化」より(以下抜粋)
「「人間にとって理想的な室温や湿度をいかにして保つか?」。これは、空気調和衛生工学の50年来の命題でした。空調技術者が知恵の限りを尽くして実現に努力した結果、機械は進歩し、ボタン一つで「いつも一定」のコントロールしてくれるようになり、人間は何もしなくなりました。 私も以前は「理想的な室温や湿度」を信奉していました。温度・湿度を一定に保った部屋では、その温度・湿度を好む微生物(カビやダニ)だけが異常繁殖して、いったん異常になると、異常が異常を呼んで、おぞましい状態になることを、自身で行った2年間にわたる実態調査研究で気がつくまでのことです。 温度、湿度、酸素濃度、イオン濃度などを「いつも一定」に保つことは、微生物バランスを崩すばかりでなく、体の免疫抵抗力を弱めることもわかってきました。一定ではなくて「ほどほど変化する」のが健康にも発育にも良かったのです。「高気密・高断熱の家に全自動エアコン」は、どうやら「理想の家」ではなかったようです。」

今回の法改正をすすめる村上周三氏は、断熱・気密住宅では疾病罹患率が低下し、健康維持増進効果があると言っているが、はたして本当にそうなのか。

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