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職場体験

地元の中学校の生徒さんが2名、2日間やってきた。職場体験学習として受け入れ始めて4年目、当然のことながら、毎年現場は違う。昨年は新築現場の小舞かき、今年はさしかけ屋根、波板はり。90㎜角の垂木の上に30㎜の桟木を90㎜の釘で打ってもらう。近頃はプロのい大工でも90の釘を手で打つことは珍しい。とりあえず何も言わずにやらせてみて、それからアドバイス。玄翁の持ち方、力の入れ方、角度、リズム。やってみせると本当に吸収が早く面白いようにうまくなる。作業の音を聞けば、上手か下手か大体わかるけれど、十分合格点。この後波板を二人だけで貼ってもらった。一人当たり何百本釘を打っただろう。後世畏るべし。

作業前に二人に尋ねた。
「一番大事なことは何?」  「自分の命」
「そう、怪我をしないこと。でも、怪我をゼロにすることはなかなか難しい。
小さな怪我、自分の指を叩いたり、ノコギリで指を切ったりは、僕らでもある。
でも、大きな怪我だけは絶対にしないこと。」
「屋根に上る?どうする?」  「はい」

受け入れる側としては、やはり怪我が一番怖い。
しかし、一線を越えて初めて見える景色もある。
こちらの心配をよそに、どんどん波板は貼られていった。

「屋根の上の釘打ち、面白かった」

怪我もなく2日間が無事終了。
学校以外の世界に触れることは良いことです。
逃げ場ができる。

翌日は親指の付け根と前腕が痛いかも。

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薪ストーブ設置

木の家や土壁の家と高気密高断熱の家は両立しない。寒いより寒くない方が良い、暑いより暑くない方が良いのは当然で、それを志向するのだけれど、家づくりにおいてまず第一に素材、木や土にこだわる限り、自ずと限界が訪れる。それを受け入れられない人はハウスメーカーに頼むようになる。石油化学製品を極力排する限り、どんなに頑張っても中気密中断熱程度が限界だ。しかし、プラスチック(石油由来製品)で密閉された空間に住むということを、私はどうしても選択できない。
古家は改修を施しても、それなりに寒い。土壁と相性が良いのはやはり薪ストーブ。輻射熱で、空気ではなく壁自体を温めてくれる。今回設置したのは国産の鋼板製の薪ストーブ。通常、薪は広葉樹を使うべきで、針葉樹はタールがたまりやすく、高温にもなりやすいので敬遠される。しかし、薪をどうやって確保するかは大問題で、ワンシーズンで使用する量の薪を全て広葉樹で用意できる人はかなり少ないだろう。今回の家主さんは、自分の山にはびこる竹を燃料にしたいということで、この機種を選ばれた。竹は体積あたりの重量が小さく、燃料としては難しい部分もあるだろうけれど、ファッションではないその導入意図に賛同したい。今まで設置工事は薪ストーブ屋に任せていたけれど、今回の薪ストーブ屋は施工は「煙突工事は大工さんに」。勉強して、部材を買い集めて、初めての施工。火入れは11月頃か。

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立秋

大島の現場は、アプローチや駐車場、薪ストーブの設置などの工事をまだ残しているが、6月上旬に引っ越しを済ませて住んでもらっている。 「すごく涼しく、快適に過ごさせてもらってます」という施主さんの言葉にホッとした。今年の夏は本当に暑く、思い切って10年来壊れていたトラックのエアコンを修理した。修理費用20万かかったが、背に腹は変えられぬ。普段つけることはないけれど、緊急避難的に使えるようになったのは嬉しい。 これまで待ってもらっていた工事の打ち合わせや段取りなどで、気がつけば8月7日の立秋も過ぎ、朝晩の空気が明らかに涼しくなった。新築工事2件、改装工事2件。なかなか休む暇がない。

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「なんとかなる」

 昨年8月、駐車スペースの確保とゴミの片付けから始まった古家の改修工事、先日施主のKさんに鍵を渡して帰路についた。工期約10ヶ月、当初の予定より2ヶ月遅れの竣工。予想以上にシロアリの虫害がひどく、大黒柱、隅柱も含め8割方の柱を入れ替え、差鴨居もほとんど入れ替えた。構造耐力の確保のため、要所要所には最低限の合板を使い、最低限の金物も使用した。工事を引き受ける時に「なんとかなる」と思い、そうして現在、「なんとかなった」と思う。こうやって「なんとかなる」という経験をひとつづつ積み重ねてゆくことが歳を重ねてゆくということなのだろう。しかし、経験値が上がってゆくのと反比例して、老眼も進み、膝がギクシャクしだし、腕を挙げると痛みが走るようになり、身体という入れ物は着実に衰えてゆくのを実感する。
 
 エンデのセリフをもう一度。
「わたしが書く行為は冒険のようなものだ。その冒険が私をどこへ連れてゆき、終わりがどうなるのか、私自身さえ知らない冒険です。(中略)本当の冒険は、そんな力が自分の中にあるとはそれまでまるで知らなかった、そのような力を投入しなければならない状況へ人を運んでゆくものです」ー「ものがたりの余白」から

 今回の古家の改修仕事は、自分にとってまさに本当の冒険だったと言える。この種の冒険に似た感覚、設計された図面通りにものをつくる新築にはない。新築仕事よりも改修仕事に惹かれる自分の感覚は、おそらくこんなところにもあるのだろう。 特に、巷にある工業製品を寄せ集めて組み立てるのが主流の今の新築住宅にあって、ものづくりの楽しさを求めることはもはや不可能に近い。そこにあるのは、何と何をどこに使うのかという、各パーツの組み合わせの遊びでしかない。無数に存在する工業製品の組み合わせは無限近くあり、それゆえ何かを作ったのだと錯覚してしまう。そこに陥らないためには、自ら素材を選び、それを自らの手で加工してゆくことこそ必要なのだと思う。その素材として、木は生き物なので、二つとして同じものは存在しない。一つとして同じ家が存在しないのと同じように。
 現在の流通システムの中でしか成り立たない家づくりには徹底的に抗いたいと思う。 

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やっと裏返し。

暖かい地といわれるここ大島でも、今年の2月は氷点下の日が何日も続いた。土壁は乾かないうちに凍ると崩れ落ちてしまう。おかげでずっと裏返しを塗ることができず放置。他の仕事をしていた。2月下旬になると急激に暖かくなり、凍みる心配はなくなった。解体して崩した壁土をプールに放り込み、水を入れて藁を入れておいて数ヶ月。再度練り直して左官屋さんを呼んだ。 土を練ったり、運んだり、コテ板にのせたり、左官屋さんの手元は楽しい。その熟練のコテさばきは何時間みていても飽きない。 お茶の時、御歳既に73歳と判明。「週休4日でいいので末永く続けて下さい」と半分本気でお話をした。

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