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あとひと月。

7月から始まって、木拵え、墨付け、刻みも、はや4か月目に突入。棟上げの日を11月6日に設定。もう少し余裕を見たスケジュールを組みたいところだけれど、その後塗りつける壁土を凍らさないためのタイムリミット。桁の刻みがほぼ終わり、柱の刻みに入ったところでT君に応援を要請。1時間半ほどかけて1週間ほど来てもらう。自分とは違う場所で、仲間の仕事の音が聞こえるのは良いもんです。それも久しぶりの大工仲間が遠方から来てくれる。仕事上の会話、休憩時間中の取るに足らない会話全てが楽しい。「この毎日ががずっと続けば良いのに」と思います。
「柱100本。せっかくやから3人みんなで柱削ったら?」昨日この後は若い衆皆でミニ削ろう会。私はその場を見ることなく他の現場へ。

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薪ストーブ設置

木の家や土壁の家と高気密高断熱の家は両立しない。寒いより寒くない方が良い、暑いより暑くない方が良いのは当然で、それを志向するのだけれど、家づくりにおいてまず第一に素材、木や土にこだわる限り、自ずと限界が訪れる。それを受け入れられない人はハウスメーカーに頼むようになる。石油化学製品を極力排する限り、どんなに頑張っても中気密中断熱程度が限界だ。しかし、プラスチック(石油由来製品)で密閉された空間に住むということを、私はどうしても選択できない。
古家は改修を施しても、それなりに寒い。土壁と相性が良いのはやはり薪ストーブ。輻射熱で、空気ではなく壁自体を温めてくれる。今回設置したのは国産の鋼板製の薪ストーブ。通常、薪は広葉樹を使うべきで、針葉樹はタールがたまりやすく、高温にもなりやすいので敬遠される。しかし、薪をどうやって確保するかは大問題で、ワンシーズンで使用する量の薪を全て広葉樹で用意できる人はかなり少ないだろう。今回の家主さんは、自分の山にはびこる竹を燃料にしたいということで、この機種を選ばれた。竹は体積あたりの重量が小さく、燃料としては難しい部分もあるだろうけれど、ファッションではないその導入意図に賛同したい。今まで設置工事は薪ストーブ屋に任せていたけれど、今回の薪ストーブ屋は施工は「煙突工事は大工さんに」。勉強して、部材を買い集めて、初めての施工。火入れは11月頃か。

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サマータイム

長期間ブログの更新がないと、心配してくれる仲間、友達がいます。
ありがたいことです。
若い衆2人、そして私も元気です。
肉体面、精神面共に、多少の浮き沈みはありますが。

現場仕事が終わって作業場で次の仕事の木拵え。ひとまわり大きく製材していた桁材、製材所に持ち込んで仕上がり寸法より1㎝程大きい寸法まで挽き直してもらう。そして作業場に持ち帰る。これは、乾燥中に生じた割れや曲がりねじれを取るのと同時に、木拵えの手間を少しでも減らすため。大きいもので長さ6m縦28㎝横14㎝、二人でやっと抱えることができる大きさの桁材を約80本、1本あたり4面で320回、人力で抱えて機械に通し、直角を出して寸法を決めて四面四角にする作業に体は悲鳴をあげる。1回機械に通して削る量はおおよそ2〜3㎜なので、およそ1000回の作業。やらなきゃ終わらない、墨付けも始められない。

作業場での仕事の際はサマータイムを導入。県境を越えた広島県の山中にある作業場まではおよそ35㎞。6時過ぎに家を出て、7時仕事開始で16時終了。渋滞もなく一足早くビールにもありつける。しかし気温は下界と変わらず30度越え。

母屋材の木拵えを残し、土台から墨付けを開始。
桁の墨付けみ入ったところで、待ちに待った盆休み。
10日は15時に作業終了。
若い二人はそれぞれ奥さん子供を連れて実家へ帰省の予定。
仕事時の険しい表情が消えて家庭の顔に。

遠路、事故のないように!

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立秋

大島の現場は、アプローチや駐車場、薪ストーブの設置などの工事をまだ残しているが、6月上旬に引っ越しを済ませて住んでもらっている。 「すごく涼しく、快適に過ごさせてもらってます」という施主さんの言葉にホッとした。今年の夏は本当に暑く、思い切って10年来壊れていたトラックのエアコンを修理した。修理費用20万かかったが、背に腹は変えられぬ。普段つけることはないけれど、緊急避難的に使えるようになったのは嬉しい。 これまで待ってもらっていた工事の打ち合わせや段取りなどで、気がつけば8月7日の立秋も過ぎ、朝晩の空気が明らかに涼しくなった。新築工事2件、改装工事2件。なかなか休む暇がない。

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「なんとかなる」

 昨年8月、駐車スペースの確保とゴミの片付けから始まった古家の改修工事、先日施主のKさんに鍵を渡して帰路についた。工期約10ヶ月、当初の予定より2ヶ月遅れの竣工。予想以上にシロアリの虫害がひどく、大黒柱、隅柱も含め8割方の柱を入れ替え、差鴨居もほとんど入れ替えた。構造耐力の確保のため、要所要所には最低限の合板を使い、最低限の金物も使用した。工事を引き受ける時に「なんとかなる」と思い、そうして現在、「なんとかなった」と思う。こうやって「なんとかなる」という経験をひとつづつ積み重ねてゆくことが歳を重ねてゆくということなのだろう。しかし、経験値が上がってゆくのと反比例して、老眼も進み、膝がギクシャクしだし、腕を挙げると痛みが走るようになり、身体という入れ物は着実に衰えてゆくのを実感する。
 
 エンデのセリフをもう一度。
「わたしが書く行為は冒険のようなものだ。その冒険が私をどこへ連れてゆき、終わりがどうなるのか、私自身さえ知らない冒険です。(中略)本当の冒険は、そんな力が自分の中にあるとはそれまでまるで知らなかった、そのような力を投入しなければならない状況へ人を運んでゆくものです」ー「ものがたりの余白」から

 今回の古家の改修仕事は、自分にとってまさに本当の冒険だったと言える。この種の冒険に似た感覚、設計された図面通りにものをつくる新築にはない。新築仕事よりも改修仕事に惹かれる自分の感覚は、おそらくこんなところにもあるのだろう。 特に、巷にある工業製品を寄せ集めて組み立てるのが主流の今の新築住宅にあって、ものづくりの楽しさを求めることはもはや不可能に近い。そこにあるのは、何と何をどこに使うのかという、各パーツの組み合わせの遊びでしかない。無数に存在する工業製品の組み合わせは無限近くあり、それゆえ何かを作ったのだと錯覚してしまう。そこに陥らないためには、自ら素材を選び、それを自らの手で加工してゆくことこそ必要なのだと思う。その素材として、木は生き物なので、二つとして同じものは存在しない。一つとして同じ家が存在しないのと同じように。
 現在の流通システムの中でしか成り立たない家づくりには徹底的に抗いたいと思う。 

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